愛なんていらない




真っ白の壁、真っ白の天井 広い部屋に置かれた大き過ぎるベッドでさえも
何もかもが色を失ったような白い空間

その中で、そこだけ色を映したような鮮やかなオレンジの髪が妖しく揺れていた

「あ、あっ、…い…っ またっ、…あぁっ!」

細身だが鍛えられた男の腹筋についた両手が震え、顎先がピンっと天を向く
軽く痙攣する太腿が横臥した男の腰を挟み込み、勃ち上がったペニスから
こぷりと淫液が漏れる
「なんやの…一護ちゃん、またイったん…?」
情欲を滲ませた甘ったるい声色を乗せた市丸の口元が、ゆうるりと上がる
「は…ぁ、だって…っ」
今達したばかりだというのに、一護の腰が未だ怒張したまま一護の中にある
市丸のペニスを味わうように、ゆっくりと弧を描くように回される 
「そんなにエエんや」
「は…止ま…んね…」
しっとりと汗に濡れ、ぬめりを放つ一護の身体は凄まじい程の色香が漂う
それを見上げながら、市丸は一護の動きに合わせるように腰を入れた

すでに何度か達している鈴口からは、止まらないと本人が言うように
たらたらと引っ切りなしに蜜を零している
「ほんま…さっきから何回イっとるの… もうトコロテン状態やん、一護?」
くすりと揶揄うように市丸が笑う
その僅かな動きにすら一護の内部は敏感に感じ取る
ぞくりと背を駆け上る快感
「あ…も…っ もっと…クレよ…ギン…っ」
そう強請るように言って、一護は煽るように腰を動かし始めた

一護の揺れる腰に両手を添えて、しばらく自身に絡みつく内壁を堪能していた
市丸が、おもむろに一護を引き寄せて、強引に体勢を入れ替え、がばりと足を
M字に開かせる
薄明かりの中で、市丸のものを呑み込んだ一護のアナルがその目に晒される
酷く淫蕩な眺めに、市丸の表情に情欲が滲む
「あ…っ、ああっ」
繋がったまま入れ替えられて、引き攣れたようになった内部に、思わず一護の声が
上がった
そのまま絡みつく襞を楽しむようにゆるく腰を回して一護の中をかき回すと、
先程放たれた市丸の精液がぐじゅぐじゅと音を立てて、抜き差しされるペニスと共に
一護のアナルからごぷりと零れ出る
「あ、あ、ギ…ンっ」
一護の声に歓喜が交じる
「激しいのもエエけど…こういうのも一護好きやろ…?」
「は…ぁんんっ …い…い…っ」
市丸に中を蹂躙されながら、一護は自分を犯す男に手を伸ばして引き寄せた
引き締まった身体が一護の上に重なり、合わさった肌の感触に、一護が心地良さげに
ため息を吐く
肌が合うというのはこういう事なのかと思うくらい、市丸の素肌に触れるだけで一護は
堪らなくなってしまう
「ほんまに…一護はボクのカラダ好きやなぁ…」
ゆっくりと一護の中を味わいながら市丸が零すと、一護はうっとりとした表情で市丸に告げた
「好き…お前の…ギンのカラダ…気持ちいい…」
そう言って、一護は目を閉じて市丸から与えられる快楽を享受する


市丸が言うように、一護はこの身体が好きだった
愛だとか、恋だとか
そんな甘い感情を彼に抱いているのかは分からない
そんな思いを感じる以前に、一護はこの男を欲していた

初めてまともに口をきいた日
相対する市丸を見た瞬間から、一護の中で言いようのない欲が目覚めた
何故だと問われても、自分でも分からない程の強い欲望
ただ、欲しいと…この男が欲しいとそれだけを思っていた

初めて二人きりになった時
たぶん、誘ったのは一護の方だったと思う
性に関して、まったくの未経験だった一護に、先に行動に移したのは市丸の方だった
それでも……
たぶん、あの時の自分は、全身で市丸を誘っていたのだと、そう思う
ほとんど会話も交わした事のない相手
彼の何がそんなに自分を誘ったのかは分からない
どこに惹かれたのかと言われても答えようがない
それでも
同じ男としての性を持つ自分が、この男に抱かれたいと思ったのは確かだ

そして、市丸もまた、一護を求めていた

護廷のどこまでも果てしなく続く回廊の片隅で
故意か偶然か、すれ違う瞬間
一瞬目を見交わしただけで、お互いがこれ以上ない程
激しく欲しているのを知った

互いに言葉もなく、ぐいっと市丸に手を引かれて連れ込まれた空き部屋
そこで、睦み合う言葉さえいらないと言うように、夢中で抱き合った
初めてとは思えない程の、欲望を露わにした激しいセックス

それが、この男との始まりだった


「あ…やぁ…も…っ」
ゆっくりとした市丸の動きに、一護の身体が焦れてくる
もっと…と、誘うように市丸の腰に足を絡めて引き寄せるけれど
一護の状態を分かっていながら、市丸は一向に動きを強めようとはしない
「は…も…ギン…動い…てぇっ」
ゆるゆると内部をかき回す動きは、激しく打ち付けられるのと違い、焦れたような
快感を一護にもたらす
一護の中にいる市丸のペニスの形状をつぶさに実感させられ、未だ与えられない
奥へと誘い込むように内壁が妖しく蠕動を繰り返す
摩擦で熱をもった内部が今度は癒されるようにゆっくりと抜き差しされて、
そのあまりの気持ちよさに一護の脳がドロドロに溶かされてゆく
けれど、どこまでも欲深い一護の身体は、今度は激しい刺激を求め始める
「ギ…ン…っ ギ… もう…キテ…っ」
これ以上、緩い、甘ったるい刺激は頭がおかしくなる
それでなくても、さっきから引っ切りなしに達しているのだ
これ以上イキっぱなしだと、本当に気が狂ってしまう

そんな僅かな怖さを滲ませて、一護が訴えれば
市丸はそれに答えるように、ずんっと一護の内部を突き上げた
「あああっ」
「なんや…激しゅう突いて欲しいん?」
「あ…ん…っ」
ぐちゅぐちゅとペニスを抜き差しする淫音を鳴らしながら市丸が問う
「は…キテ…ギン… 奥に…きてぇ…」
「奥…?奥が感じるんや…」
「あ…あぁ…っ 感じ…るっ 奥に…ちょうだ…ぃ…ギンっ」

一護の言葉に市丸は一つ笑みを落とすと、望みを叶えるように一護の膝裏を掬い
自身の肩に乗せて胸に付くほど折り曲げ、そのまま思い切り奥に穿つと一護の
口から甘い嬌声が上がる
「やぁあああ…っ」
絡みつく熱い襞を振り切るようにカリをぎりぎりまで引き戻してから一気に差し戻す
「や…ああっ い、やぁ…ギンっ」
「イヤ?…そんな事言うてへんで?一護んナカ」
「ちが…あ、い、やっ あっ、ぃ…いっ」
「いいんかイヤなんかどっちなん」
「ひぁ…っ あああぁっ」
ずんっと一際深く突き上げれば、悲鳴とも付かないような嬌声を上げて一護の背がしなる
だんだんと早くなる注挿に一護が限界を訴えるように市丸の背に爪を立てる
「や…ぁあっ… も…イく……っ」
「…もう少し我慢しぃ」
そう言いながら市丸が、奥に与えていたペニスをずるりと引き出す
「いやああああっ」
先端だけ含ませてくぷくぷと入り口を遊べば、焦れきった一護が狂ったように声を上げて
腰を振る
「イキたいん?」
「ん…ぁっ… も…だめぇ…」
ざわざわと内が蠢いているのが自分でも分かる
異常に高くなった体内の温度がもう熱くて堪らない
これ以上焦らさないで欲しいと濡れきった瞳で訴えると、情欲に塗れた薄青の瞳が
意地悪く嗤った
「ええよ…イカしたる」
そう言って市丸が、さんざん弄り回して赤く勃ちあがった両方の胸の飾りを
親指と人差し指で爪を立てて抓り上げた
「あ、――やああああああっっ」
「……くっ……」
引き千切られるような痛みが一護に壮絶な快楽をもたらす
いきなり与えられた強烈な刺激に、一護の頭が真っ白に塗り替えられて、
長い歓喜の悲鳴を上げながら一護が達する
何度も達した為薄まった精液が自分の顔に降りかかるのでさえ気持ちがいい
ぎゅうっと引き絞るように収縮された内壁にペニスを締め付けられて、思わず放ちそうに
なった絶頂を腹筋に力を込め市丸はやり過ごす
「…あ…あっ…」
一護の身体がびくびくと瘧を打ったように痙攣する
ひくつくアナルからずるりとペニスを引き出し、市丸は一護をうつ伏せて
腰を取ると、ぽっかりと開いた口にもう一度怒張を埋め込んだ
「あん…ん」
その感触に、一護の口から甘い声が漏れる
「ほんまに、こんなんでイケるようになってもうて…
もう普通のセックスじゃあ感じへんのと違う?」
「…知らな…い」
くすりと笑って蔑むような台詞を投げつける市丸に、一護は枕に顔を押し付けたまま、
ぼそりと返す
加虐趣味のある市丸のせいなのか、元々自分が持っていた性癖なのかは
一護にはもう知りようがないが、市丸の言うように与えられる痛みや言葉に、
自分の心と身体が酷く悦んでいるのは確かだ
「いい…ギンとしか…しないから…」
こんなセックスに悦んでいるのは市丸も同じだ
もしかしたら、こんなに激しく求め合ったのは、対極でいながら同じ嗜好の
せいなのかも知れない

「あっ」
達した後の気だるい身体を投げ出して、彷徨う思考の端でぼんやりと考えていれば、
一護の意識を戻すように再び市丸が軽い律動を始める
「ギ…ン」
「ボクがまだや…それに…」
と、市丸の手が一護の前に回され、確かめるようにすうっと指を滑らせる
「一護ちゃんもまだ勃ってるで」
そのまま顎を取られ、耳の穴に舌を差し入れて舐め回しながら市丸囁く
「欲深いなぁ…一護は どないしたら満足してくれるん?」
直接耳に送り込まれるぴちゃぴちゃといういやらしい水音と責めるような台詞に
一護の背筋にぞくりとしたものが走り、思わず背が反り返った
「あ…あっ」
うっすらと開いた口元から、零れ落ちた唾液が糸を引いてシーツに染みを作る
過ぎる快楽にほとんど正気は飛びかけているのに、収まらない欲望だけが
まるでうわ言のように一護の言葉を紡がせる
「…きて…ギンの… ギンの…で、奥…突いて」
「ボクのんで突かれんともう満足でけへんねや」
ゆっくりと耳全体に舌を這わせながら、情欲を滲ませた甘ったるい声で市丸が言う
それに、こくりと喉を鳴らして一護は市丸の方へと顔を向け、舌を伸ばして
口付けを強請る
後ろで繋がったまま無理な体勢を強いて、貪るように口付けを交わす
舌を絡めて互いの口腔を堪能した後、唇だけが離され、外でまた舌を絡めあう
「そろそろ…ボクも限界や…」
するりと舌を戻して市丸が囁きを落とし、一護がそれに吐息で返すと
市丸の手が一護の腰を掴んで、膝を立たせるとそのままぐっと中へと
突き入れた
「あ…はあっ…」
狙い済ましたように前立腺を擦られ、すでに閉じることが適わなくなった鈴口から
トロトロと蜜が溢れ出る
ゆっくりと焦らすような注挿とは打って変わって、何度も激しく突き上げてくる市丸に、
一護はただ嬌声を上げ続ける
「あ、あ、あっ…、や…もぅ…ギン…ギンっ!」
限界が近い一護の中が激しく蠕動し、市丸のペニスに絡みつく
「は…あっ、も、キ…テっ…ギンっ!お…くっ突い、て
ギン、の…出して…っ ギンの、精液…掛けてぇぇ…っ」
目の前がチカチカして、呼吸すら上手く紡げない
頭の中が白く霞が掛かり繰り返し起こる小さな絶頂に笑いすら起きそうになる

最奥にある一護の秘められた性感帯
市丸とのセックスで開発されたそこは、一護が最も弱くて、最も感じる部分
市丸のペニスの先端で突き上げられる事でようやく感じる事のできるその箇所を
突かれて、はじめて一護は本当に達する事ができる
一護が望み、市丸が作り変えた淫蕩な身体
まるで責め苦ともとれるような執拗なセックスの果てに、ようやく与えられる
本当の絶頂

激しく注挿を繰り返していた市丸が僅かに角度を変えて、望み通りに一護の
最奥を突き上げる
パンパンと音がするほど激しく腰を打ち付けられ、根元まで銜え込まされたかと
思えば、抜ける寸前まで引き抜かれる
市丸自身も限界が近いのか、迷うことなく一護の奥にある性感を責め立てる
「あ、あぁ…あっ…、───は…ぁ、あああっ」
最早自分で動くことが適わず、市丸の律動に揺さぶられるままの一護はもう、
意味のある台詞を吐くことすらできない
「イクで、一護 奥に…たっぷり掛けたる…!」
そう言って市丸が一旦腰を引き、一際深く突き上げて欲望が放たれた瞬間
「ああああああっ―――――っ」
悲鳴のような嬌声を上げて、一護は達し、そのまま意識を飛ばした

意識のない身体が、最後の一滴まで搾り取るように市丸を締め付ける
ひくひくと痙攣する襞にペニスを絡みつかせたまま、一護の身体が落ち着くのを
待って、ようやく市丸は一護の中からずるりと濡れそぼった自身を引き出す

本当に、何度抱いても飽きないと思う
飽きるどころか、抱いても抱いても抱き足りない
一足先に深い闇に落ちた一護の、汗に濡れて額に張り付いたいつもよりも
少し濃くなったオレンジの髪をそぅっと梳く

体からはじまった関係
それ以外はいらないというように、言葉も何も求めない一護
それでも、この子供が誰にでも体を開くような奔放な子ではないという事を
市丸は知っている
「ええかげん分かってくれてもええんやけどなぁ…」
今は安らかな眠りの中にいる一護にそっと呟く

どうして市丸がこんなに一護を求めるのか
どうして、一護が市丸に惹かれるのか

言葉に出せばきっと、「そんなのいらねえ」と、不機嫌そうに言うのだろうけど

疲れて投げ出された手を取り、眠りを妨げないように
その細い手に愛しげに唇を寄せて言葉を落とす

「愛しとるよ…一護ちゃん」





最後不本意に甘くなってしまった
色狂いな一護が書きたかっただけなのに…
一応場所は虚圏ですが、背景はスルーで
うちの市丸さんはHがやたらとねちっこい…