<注意>単なるおバカ話ですが、少々エロが含まれます
裏に置くほどでもないので、とりあえずは表に置いていますが
閲覧は自己責任でお願いします。

パジャマ物語





ふっと肌寒さに眠りに落ちていた意識が覚醒する

ぼんやりと目を開けると、和室の天井が映った
(あれ…)
まだ、どこかぼうっとしながら辺りを見渡して、ここが何処かを一護は思い出す

(そっか、俺ギンのとこに来てたんだ)

昨日から、一護は恋人である市丸の所にお泊まりに来ていた
というか早い話現世に来た市丸から強引に連れ帰られた
そこで、漸く一護はこの部屋の主が居ない事に気がつく

「ギン?」
呼びかけてみるが返事はない
今日は休みのはずだから、いつもなら一護が起きるまで一緒に布団に潜り込んでいるのに
(なんだ、ドコ行ったんだあいつ…)
とにかく起きなきゃと、布団にくるまったまま手だけを伸ばして辺りを探る
(あれ?)
もっと下だったかなと思い、器用に身体をねじって手を伸ばすけれど、目的のものが一向に見あたらない
寒いなぁと思いながら、仕方なく上半身だけ起き上がり周りを見渡す
(へ?…ない?)

昨夜なし崩しに事におよんだ為、布団の周りに脱ぎ散らかされたはずの自分の死覇装が
見渡す限り、どこにもない
(ギンのやつ、畳んでどっかに置いたかな…)
果たしてあいつがそんなことするだろうかとちょっと疑問に思いながらも、今ここにないという事は
市丸がどこかに置いたとしか考えられず
寒いんだから、せめて枕元に置いとけよ!と一護は頭の中で文句を言う
仕方ないので、着丈は長いけれど市丸の着物でも借りようと、一護は部屋の隅に置かれてある
箪笥に目を向けて……
そのまま、飴玉のような目を、目一杯見開いた

(た…箪笥が…ない!?)

いつもは部屋の隅に鎮座してあるはずの、箪笥が忽然と姿を消している
確かに、昨夜はここにあったはずだ
だが…よくよく思い返して見ると、この部屋に入った途端に押し倒されて後はそのまま…という
状態だったので、正直本当にあったかと言われると、少々自信がない
(つーか、着るもんねーじゃん、俺…)

今の季節は冬
一応気遣いのつもりか火鉢は入れてくれては居るけれど、この季節に布団しかないこの部屋で
裸でいるのは結構寒い
これでは隣の部屋へ行くのにも、布団を巻き付けていくしかない
(つーか、マジ何処行ったんだよあいつ)
こんな状態で一護を一人にして、ふらふら出歩かないで欲しいと
一護は市丸の一刻も早い帰宅を願った



「たっだいまー、一護ちゃん」

スパーンと音がするほどふすまを思い切り開けて、この家の主市丸が上機嫌で帰宅する
「お前!何処行ってたんだよっ!」
結局、かれこれ2時間あまり布団から出られずに苛々していた一護が、上半身だけ起き上がって、
早速市丸に文句を言う

「あ〜ごめんなぁ ちょっと買い物行っててん」
ごめんと言いながらまったく悪びれた様子がない
それになお一層眉間の皺を深くして、一護は市丸を睨み付ける
「てか、俺の死覇装ドコだよ!お陰で布団から出られなかったじゃねえか!」
そう文句を言う一護に、市丸はにっこりしながらとんでもない台詞を吐いた

「ああ、あれ、捨てた」
「…………はい?」

意味がわからないというように、一護がキョトンとする

「やから、捨てた 死覇装」
「…は?」
「なんで、代わりにコレ買うてきたんよ」
そう言って市丸は、にぃっと笑うと呆然とする一護の前に現世の物と思われる紙袋を置いた

「す…捨てたあああああ!?」
「おや、一護ちゃん、反応鈍いなあ」
「捨てたって、何考えてるんだよ、お前っ!!」
「なに…って、そりゃぁ色々」
にたぁ〜、と笑みを浮かべる狐はそりゃあ不気味だ
しかも、しっかりと『何か企んでます』と宣言つきだ
思わず顔を引き攣らせた一護に、市丸はいそいそと紙袋から服らしきものを取り出した

「はい、一護ちゃん、これ着てぇな」
「……これ…?」
取り敢えず、色々文句はあるけれど、それは後だ
何か着ないと風邪を引いてしまう…と、恐る恐る市丸から受け取ったものを広げて……
一護は思いっきり、固まった

「…なっ…!」

袖を通そうと思って広げたそれは、どうやら起毛のパジャマのようだったが…


「着れるかーーーーーっ!こんなもんっっっ!」

つなぎタイプのパジャマはフードが付いていて、そのフードには、
なんと猫耳がちょんっと可愛く付いている
可愛いというよりも、どうも何か変な目的でのコスプレ用にしか見えない

「なに考えてんだっ!このバカエロ狐!!!!!」

それでか、それで俺の死覇装捨てやがったのか!と一護は市丸を怒鳴りつける
それを涼しい顔をして受け流すと、市丸はにぃっと人の悪い笑みで一護に言う
「なら、着んでもええけど…、そのかわりずーっとハダカやで?」
「なにぃっ!?」
すぅっと口角を上げて、薄く目を開いて意地悪く微笑う
「やって他に着るもんないやろ 
ハダカでおるか、この可愛い猫ちゃんパジャマに着替えるかどっちか選び?」
「何バカ言ってんだよ!つーか、お前箪笥ドコやったんだよ!お前の着物貸せよバカっ!」
「ああ、箪笥な あれも捨てた」
「捨てるなあああーーーーっ!!」

さっきから怒鳴りまくった一護の息がぜいぜいと上がる

「…ってのはさすがにウソやけど、他の遠い部屋に移したから取りに行くんもハダカやな」
「……瞬歩で行くからいい」
何がなんでも着せようとする市丸に最大限抵抗する
だが、我を通す事にかけては一枚も十枚も上手な市丸に一護が適う訳がない
「あァ、無理や やって瞬歩使えんように一護ちゃん縛道かけてんもん」
「はい!?」
「別に普通に動けるから実感ないやろ?
ええよ、試しに瞬歩使うてみ?でけへんから」
市丸の言葉に、座ったまま瞬歩を使おうとするが、どうしても身体が金縛りのようになって
使うことができない

(…どーして、こんな事だけ頭回るんだよ…こいつ…)

泣きそうな思いで一護は唇を噛む
その一護の顎を長い指でくいっと持ち上げて、市丸が笑み零す
「あかんよ、唇なんか噛んだら 
…ええやん、別にこれ着て護廷んなか歩け言うんやないし……
ああ…それもええなぁ あんまりゴネてるとほんまに護廷中歩かすで?」
いいことを思いついたというように、にっこり笑う市丸に、一護はもう何も言う気力がない
うう〜と、唸るように黙り込んだ一護に、さらに市丸が追い打ちをかけた

「で、どないする?ハダカでおる?それとも猫ちゃんパジャマ着る?」

もう、こうなったら、何を言っても無駄だ
しかも、一護がゴネればゴネるほど、市丸の要求はどんどんエスカレートしてくるのだ

「ん?」
「……着る…」
「…着てくれるん?」
確認するように言う市丸に、一護は市丸の手にあるパジャマを引っ掴んだ
「着るよ!着りゃあいいんだろっっ!!そんかわり、この部屋だけだからなっ!」
そうして、してやったりとにた〜っと笑う市丸に背を向けて、一護はしぶしぶと猫ちゃんパジャマに袖を通した



(……なんだ一体これは……)

「うっっっわぁ!可愛ええわぁ!一護ちゃんv
なんやの、もう!ありえへんっっ!!」
(……ありえへんのはこっちだ……)
めったに見られない市丸の全開開眼状態で、笑み崩れた口元から可愛いだの愛らしいだのと
いう言葉が連呼される
しかも、アイスブルーの瞳がキラッキラ輝いている

(…無駄に目を見開くな……)
一護の大好きな瞳が、邪にキラキラしているなんて、嫌過ぎる…
いや、確かに事の最中に開眼するのはよくあるけれど、なんというか…あれはもうちょっと
男くさくて色っぽいというか…
とにかく、こんな変態丸出し状態で開眼されても、ちっとも嬉しくない
…どころかなんか悲しい…


だが、市丸が、可愛さのあまり全開状態になってしまうのも、ある意味仕方がない


一護の髪に合わせるように、オレンジを基調とした三毛猫風の縞模様にお腹の辺りだけ白い
少し長めの起毛素材が、ふんわりとして可愛らしいつなぎタイプのパジャマ

だが、もうこれはすでにパジャマというよりも、単なる猫のコスプレ衣装のようだ
しかも、一護はフードについた耳ばかりを気にしていたようだが、実際着てみると、おしりのあたりに
長いしっぽまでちゃんと付いていた
意地でもフードは被るもんかと思っていた一護だが、抵抗空しくあっさりと力ずくで被せられ
今現在、死神代行黒崎一護は、どこからどうみても、立派な仔猫のコスプレイヤーだ


「うう〜」
さっきから、顔を顰めてなにやら唸っているが、今の市丸にとっては、その唸り声すらも猫っぽくて
可愛いと思えてしまう
機嫌の悪そうな様子がまったくの逆効果だということに一護は気づいていない

ただ、一護にも唸るだけのちゃんとした理由があった
それは……

(う〜〜〜、なんかもぞもぞする……)

そう、市丸から捨てられたのは、何も死覇装だけではない
しっかり下着まで捨てられていた一護は、現在ノーパン状態で…
なんだか裏起毛の肌触りがくすぐったいようなムズムズするような…で、あまり有難くない状態なのだ

(ギンの奴…せめて下着くらい残しておけよ…)
と思う一護は、まだまだ市丸の事がわかっていない
この男は、捨てるなら、まず下着から捨てるような男だ


「おいで、一護ちゃん」
ひとしきり一護の姿を眺めて満足したのか、市丸が両手を広げて今度は腕の中へと一護を誘う
(…いや、マズイ… ぜってーヤバイ)
じりじりと逃げを打つ一護に、市丸が手を広げたまま、口をへの字に下げる
「なんで逃げるん」
「…いや…その…っ」
「だっこさして?」
「ヤダ!」
「…ふーん」
両手を広げたまま止まっていた市丸のへの字口が、その言葉と共ににゅいっとつり上がる
その瞬間、ヤバイと思う暇もなく、一護はあっさりと市丸の腕に抱き込まれた
横抱き状態のまま、市丸がすりすりと顔に頬を擦りつける
「あ〜やっぱりこれにしてよかったわぁ ほんま可愛えわ〜」
にこにこと上機嫌の市丸に、こんな趣味があったのかよ…と泣きたくなる一護だが、今はとにかく
とっとと満足してもらって、早く普通の着物が着たいとそれだけ願う

「一護ちゃん」
ちゅっと一護の頬に市丸の唇が落とされて、そのままするりと唇に滑らせる
「んっ」
柔らかく食むように何度か啄まれて、そのままするっと舌が差し入れられた
「ん…ふ…っ」
だんだんと深くなる口付けに、始めは逃げを打っていた一護が、自分から舌を絡め始める
恋人からのキスはやっぱり気持ちよくて、一度抵抗が解けてしまえば、あとはお互い貪るように求め合う

長い口付けが漸く解かれた時には、すでに一護の瞳は潤みはじめていて
ほんのりと赤くなった目の縁とその表情に、市丸の欲情が掻き立てられる
柔らかい起毛の肌触りが気持ちよくて、もう少し一護の可愛い猫姿を楽しみたいけれど
さすがにこんな格好で、こんな表情をされては理性だってそうそう持たないと市丸は思う
まあ、でももう少しだけこの感触を楽しもうと、市丸はパジャマの上から一護の身体を愛撫する

「…や…っ …ギン…!」
「気持ちええやろ…?」
一護が弱い、いつもより若干低めの声で甘ったるく囁けば、思ったとおり一護の身体がふるりと震えた
「てか…やだ…って!」
「なんで?」
そう言いながら、するっと耳朶に舌を這わせれば一護はいやいやをするように首を振る
「一護ちゃん?」
「だって…こんなの…っ」
「こんなのって?」
「…だから…っ」
そう言った一護が言いよどむ
それに続く言葉を見越して市丸がくすりと笑った
「たまにはええやん」
「ヤダっ……変態」
「………ふうん」
潤んだ瞳で一護がキッと睨み付けるが、市丸はその瞳を見つめたままゆっくりと笑みを深くする

背中から腰のラインを彷徨っていた手が、すうっと脇腹を通り、腹筋を伝って胸元を撫でてくる
暖かそうな起毛だが、生地自体は厚くはない
親指を胸の飾りの辺りを擽るように何度か這わせていると、次第にそれが生地越しにぷっくりと
主張しはじめた
「……んっ」
可愛らしく勃ち上がった飾りを転がすように中指と人差し指で挟み込み、きゅっきゅっと力を入れてやれば
一護の口から甘やかな吐息と小さな喘ぎが漏れてくる
反対側も同じように愛撫すると、一護は快感に流されまいとふるふると首を振る
「ん…んんっ…や…だっ」
相変わらずまったく拒否になっていない台詞を吐き続ける一護に、胸の飾りを遊んでいた市丸の手が、
なんの前触れもなしに、いきなりするっと股間を撫で上げた

「やっ………っ!」
「嫌なん…?」
市丸がにっこりと意地悪く笑うと、一護は、きゅっと唇を噛んで小さな声で「ヤダ…」と呟く
「ふうん、でも一護ちゃん勃ってるで?」
「っ! だか、ら…そ…れは…っ あっ!」
そのまま布地ごときゅうっと握り込めば、すでに勃ち上がっていた陰茎が芯が通ったように硬さを増す
「んんっ」
市丸の長い指が一護のものを握り込んだままゆるゆると上下する
その刺激に、一護は市丸の胸に顔を埋めて着流しの胸元をぎゅっと握りしめた
「…も…ホントに… や、だ…ギン…」
あくまでも強情な一護の言葉に、市丸の声色にほんの少しの冷ややかさが乗る
「…そんなこと言うならほんまにやめるで?」
「う……」
すうっと下から上に裏筋をなぞりながら意地悪く問う
「ええの?やめても」
「……くっ…」
市丸の視界でふるふると一護の髪が揺れる

恋人から求められて、身体もそろそろ限界を訴えているのに、頷くことに良しとしないのは、
たぶん最初に思いっきり拒否したせいなのだろう
一護がこのまま流されたがっているのは、十分承知している市丸だが、強情を張り続ける一護に、
生来の加虐心が沸いてくる

「わかった」
ふうっとため息を落として、市丸がしがみついていた一護の手を外す
「え…」
突然の市丸の豹変に、状況が理解できない一護の目が、呆然と市丸を見上げる
それをきっぱり無視して、市丸はするりと立ち上がるとふいっと踵を返して部屋を出ていこうとする
「ギ……っ!」
怒らせたと思った瞬間、市丸の名前を呼んでいた
その一護の声に、市丸は足を止めて肩越しに振り返る

「…なに?」
「あ……」
「止め言うから止めてあげたやろ?」
やから、何?と冷たく言う市丸に、一護は違うと頭を振る
「やだ…ギン…」
頬を上気させて、濡れた瞳で縋るように見つめる一護の姿を見ただけで、全身で欲しいと
訴えている事が知れる
だが、市丸はそんな一護をじっと見つめて肩を竦めた
「ちゃんと言わなわからへんよ」
「ふ…やだ…ギン…行かな…ぃで…」
きゅっと唇を噛みしめて、畳に付いた手が震えている
「せやけど、して欲しないんやろ?」
一護に向き直り、意地悪くそう問えば
「シテ…」
と一護の口から呟くように落とされる
その言葉に、市丸が一護へと歩を進める
近づいてくる市丸に手を伸ばし、震える手で袂を掴めば、屈み込む市丸を引き寄せるように
一護が唇を重ねた



「もう、絶対しねーからなっ!!!」

市丸の腕枕で身体を抱きしめられたまま、一護が上目遣いに市丸を睨み付ける
結局、ほぼ強制的に無理矢理着せられた猫パジャマは、市丸の手によってあっさりと剥かれて
今は部屋の片隅に投げ捨てられていた
「そんな事言うたかて、一護ちゃんやって結構ノリノリ……ぐっ…!!!」
「ダレがノリノリかっっ!!いっぺん、死ねっお前っ!!!」
とんでもない台詞を吐く市丸の顎に容赦なく頭突きを食らわせて一護が叫ぶ
あれからなし崩しにコトが始まり、明るかった部屋も今ではすっかり暗くなってしまった
つまり、それだけ離してもらえなかった…という事だ

確かに、市丸の言うことも間違ってはいない
初めこそ酷く抵抗があった一護だが、途中からは市丸の言う通り、あんなコトやこんなコトまで
してしまったのは確かだ
だが

(ニヤけたツラでそんなこと語るなっ!!!)

長年生きている爛れきった大人と違って、一護はまだ恥もあれば照れもある思春期真っ盛りの
青少年なのだ
しかも…なにが悲しくてコスプレの真似事まで…
よもや市丸にこんな趣味があったなんて、どうして気づけようか
そう思い、頭を抱える一護の胸中を知って知らずか…思いっきりダメージを受けたはずの市丸は
長い指でさすさすと顎をさすりながら、「ひどいわ〜一護ちゃん」と、眉をへの字にさげる

そして、一護が抵抗できないようにぎゅっと抱き寄せると、耳元にそっと悪魔の囁きを落とした


「今度はうさちゃんパジャマ買うてくるな」





※一護猫パジャマ
年末に友人とチャットで盛り上がった話。
やっとできたよ〜!
次はうさパジャマだ!←ホントか!?
実はH最中もしっかり書いていたんですが
さすがに表には置けなくて泣く泣く削りました。
なので、そのうち裏にupするかも…