
こんな世界壊れればいいのに
そうキミが言ったから
情事の後を色濃く残した細い身体をしどけなく横たえて
ふと思いついたようにぽつりとキミが言う
力の抜けた身体をそっと抱き寄せてまるで睦言を囁くように耳元に落とす
『なんで…?』
掛かる息がくすぐったいのか、僅かに身じろぎボクの鎖骨に唇を付けて
『…めんどくさい…』
甘い吐息のように囁く
『…辛ぉなった?』
オレンジ色の髪に唇を落とせば、そっと背に細い腕が回される
身体の成長と共に日増しに強くなるその能力
魂の奥底に封印されたモノが次第に悲鳴を上げ始める
開放すれば楽になると分かっていて
開放すれば、もう、人としてはいられない
『…ボクが壊したる…』
『……うん……』
どこまでも澄んだその瞳で
世界の崩壊を願うキミ
どこまでも真っ直ぐなキミの心が
本当に壊したいのは、自分自身
ただ、偽らざる自分でいたいと
願うのはそれだけ
人でも
死神でも
虚に堕ちることさえできずに
この世界の異端者は
静かにその時を夢にみる
寝物語に交わされる世界の終わり
そんな些細な出来事で
狂った歯車が軋みをあげる
あらゆる崩壊に向かって
廻転する
世界の終わりとそしてはじまり
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