─独白─





『オマエはそっち側に居るべき人間やない』


ニヤけた男がそう言う

…ああ、またか
その言葉に一護の目が眇められる

…めんどくせえ…

『断る!俺は死神だ!オメーらの同類じゃねえ』
そう言い捨ててさっさとその場を去る

本当にどいつもこいつも…
ウンザリする
死神も、現世の人間も、今回新たに現れた男も
誰も彼も、一護は自分の仲間だという
自分こそが同類で仲間なのだと一護に突きつける

知りもしないで

裡に眠る能力が僅かに開放されるたびに、異口同音に仲間だと言い始める連中
だが、それが『本当に』異質なものだと知ったら、彼らはどうするのだろう

旅禍として乗り込んだ尸魂界
それを『敵』だと言い、抹殺しようとした彼ら
だが、三人の隊長格の裏切りと共に、今度は味方だと手のひらを返す
自分が救おうとした少女の殺害が画策されたものだと知るやいなや
今度は救出劇のヒーローだと祭り上げる

馬鹿馬鹿しいとは思わないのだろうか
一護にとっては、誰の思惑だろうと、彼らがそれに従った事には変わりないというのに
ただ表に見えるありようで、瞬時に敵と味方が入れ替わる
一護が見せたい自分を見せただけで、敵だ味方だと騒ぐ彼ら
純粋で、正義感に溢れ、真っ直ぐな黒崎一護
彼らが求めるのはそんな自分
昏く、醒めきった一護など、あってはならないというように

莫迦な、と思う

自身の裡に混沌を抱えて純粋でいられる訳がない
表に見える一護の性質が、真実だと言ったことは一度もない
偽りの仮面に向けられる善意が、信頼が、温くて気持ちが悪い
いっそ、敵だと悪意を向けられたほうがすっきりするのに


ああ…きっと

そろそろ、潮時だ


裡で暴れる本能をそっと撫でて、冷たい笑みを浮かべる

もうすぐだ


もうすぐ、絶望の瞬間がはじまる





※原作の平子さん勧誘当日
結構好きなんだけどな平子さん
しかし…まさか藍染さんより年だとは…
わ…若作り!?
見てわかる通り、一護醒めてます…